自伝的怪作と言われる成功者Kは一読の価値があります

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成功者K | 羽田圭介


47歳 | 男性 | 自営業 | ポッポ

このタイトルにある「K」とは、作者である羽田圭介のことです。作中では常にKと表現され、本名が一切出て来ないところもこれが自伝的作品であることを印象付けているように思えます。
その作者自身が「6割は事実」だと出版の際のインタビューで応えていたように、Kは小説家で、芥川賞を受賞し、それをきっかけに人生が一変するというストーリーとなっています。
作者本人がテレビで引っ張りだこになっていたように、Kも様々な番組やイベントなどに呼ばれるようになりますが、それまで何の注目もされていなかった人間が一気に有名になってしまうと、これほどまで調子に乗ってしまうのかといった内容が展開されていきます。
ファンの複数の女性と関係をもつようになるという部分はさすがに作っているだろうと思ってしまいますが、実際の作者と照らし合わせて、は結構な部分が事実なのだろうと推測できるのが読んでいて面白く、その中でもテレビ出演のギャラについて細かく書かれている点には一見の価値があります。
テレビやイベントへの出演からKの人気は高まる一方で、表を歩く時には帽子にサングラスにマスクという芸能人さながら格好になり、どこまでそのような様子が続くのかと思って読んでいくと、後半でそれらの生活が一気に崩れていき、一種のカタルシスを感じさせてくれます。そこまでは思いっ切り“こいつは嫌な奴だ”と思わせて、最後にそれが崩れる様子を描くことでそのような感情にさせるという流れは、読み物としてうまいまとめ方だと思いました。
作者がこのKのように、一時期調子に乗ってしまった経験を元にして書いたものに違いなく、自らが同様に最後に何もかも失うようなことにならないようにと戒めの為に書いた小説なのだと思います。途中まではただ作者の成功記を読まされているようで面白くないかも知れませんが、最後まで読むと、「驕れる者は久しからず」とは言ったものだと強く感じてしまう小説です。

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