童心に帰りたい人には「幻獣ムベンベを追え」をぜひ読んで欲しい

モケーレ・ムベンベという恐竜のような形状をした大型怪獣がアフリカのコンゴ周辺にいるという噂を知った著者が実際にアフリカに行って捜索したときの話が描かれた本です。

そもそもそのような怪獣がいるはずがなく、もしいたとしたら既に世界的な大ニュースになっているので結末は最後まで読まなくても明らかなのですが、この本の何が面白いかというと次から次へと発生するトラブルを巧妙に回避していく様子が読み応えバッチリの出来になっているところです。原住民とのトラブルは当然のこと仲間同士で言い合いになってケンカしたり高熱が出て病気になったりと、とにかく最初から最後までトラブルの連続です。この人達、本当に何事もなく無事に日本に帰ってこれるのかという点に着眼して読んでいるとハラハラしてとても楽しく感じました。

ちなみに著者の高野秀行さんは近年になって「クレイジージャーニー」という番組に出演されたことでも有名になりました。世界中を飛び回って数々の無茶な冒険をされている方なのですが、この本はそんな彼が一番最初に書いた作品です。若い頃に書かれた作品なのでやっていることはパワフルですし滅茶苦茶ですし計画などあってないようなものなので読んでいても最後まで飽きが来ません。子供の頃に戻って冒険をしたいという思いはみんな心の片隅にあると思いますが、是非この本を読んで童心に帰って頂けたらと思います。